資格の話その① -QC検定-
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私は大して自慢できるような資格は持っていないが、数少ない資格の1つがQC検定だ。
正式には品質管理検定と呼ばれる。
私が持っているのは2級だ。
国家資格ではなく、民間団体である日本規格協会が主催する資格試験であり、
大卒相当のエンジニアならば2級の取得が妥当だろう。
2級の場合の合格率は20%前後とされているので、難関と呼ばれる国家資格と比べれば
割と合格率は高い方だといえる。
まだ歴史は浅く、制定されてから20年も経っていない。
しかし、品質管理の基礎になる知識を有することを示す資格として
近年取得を推進する企業や個人が非常に増えてきている。
主にはモノづくりをする企業が多いみたいだが、サービス業なんかでも十分通用する。
その中身の半分は統計学だからだ。
QC検定では"手法編"と呼ばれる統計学に関する部分と、
"実戦編"と呼ばれる品質に関する国際規格ISO9001や改善の考え方
とかの知識を問われる2本立てだ。
統計学というのは非常に面白い学問だなと思う。
答えをひとつに絞るのではなく、ばらつきを容認して「可能性」を探るものだからだ。
2級の統計学に関する部分である"手法編"を分類すると
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正規分布
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回帰分析
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推定・検定
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実験計画法
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抜き取り検査
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管理図
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相関分析
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QC7つ道具
こんな感じになる。
合格ラインは正答率70%だが、"手法編""実践編"それぞれでも50%が要求される。
言い換えれば結構捨てても合格できる、と考えても良いのだ。
私は実験計画法がサッパリ理解できず、最低限のとこだけ覚えてあとは捨てた。
それでも合格できたので1つや2つわからないところがあっても何とかなるのだ。
回帰分析や推定・検定、相関分析は定義式を覚えるのが大変なんだが、
選択式試験なので仮に式の意味がわかってなくても、覚えてしまえば攻略できる。
このへんはQC7つ道具も似たようなものだ。
どのツールがどういうときに使うものかをわかってさえいれば大丈夫だ。
ちゃんと理解してないと答えられないんじゃないかな、と思えるのが残る3つ。
正規分布、管理図、抜き取り検査だ。
正規分布
統計学の基本中の基本。
さすがにこれがわかっていないとQC検定の資格を取れても意味ない。
最も問われやすいのはやはり分布の山の形を視覚的に捉えて評価することと
標準偏差との関係性だろう。
標準偏差の3倍(俗にいう3σ)と分布の山の端っこがだいたい同じ値になる、という
特徴を知っているだけでも全然違う。
これがわかっていれば工程能力指数(Cpk)の意味も多分わかるはずだし、
Cpk≧1.33がなぜ要求されるのか、のいうことも腑に落ちる。
受験生がよく使う"偏差値"もこの正規分布の考え方をもとにしたものだ。
一からの勉強で2級を目指す人はまずこの正規分布のマスターを薦める。
管理図
主に折れ線グラフに測定値を打点していき、管理限界線がどこになるか、
打点がどういう並びになったら異常なのか、測定対象に対してどの種類の
管理図を使えばいいのか、ということが問われる場合が多い。
まあこれも管理図の種類、管理限界線が合否を決めるラインではないこと、
管理図ごとにある管理限界線を決めるための公式を覚えてしまえばだいたいOK。
抜き取り検査
抜き取り数の求め方よりも、OC曲線や生産者リスク、消費者リスクの
意味を理解しておく方が大切。これがわかっていないと抜き取り検査をすることの
メリットとデメリットを理解できないからだ。
まあ学生時代の進路で理系を選択してきた人にとってはそれほど難しくはないはずだ。
合格率20%といっても記念受検的な人もいるし、ノー勉で受けに来る人も多い。
常識的な範囲で勉強さえしていればかなりの確率で通る試験だと思っていい。
この資格を取得する過程で得られた知識は実際の仕事でも必ず役に立つ。
例えば2台の装置で作ったものの寸法の分布を比べてみて、両者は果たして
同じといえるかどうか、なんてのは有意差検定のスキルを身に着けていれば
客観的に判定することができるからだ。
試験は毎年3月と9月に実施される。
年2回しかないわけで、せっかく受けるなら一発で合格したいものだ。