人生の雑記帳

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自分で登記その⑥ -抵当権設定登記(準備編)-

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自分で登記をするにあたり、抵当権設定登記は"ラスボス"だ。

登記自体はたいして難しくはないが、自分でするためのハードルが高いのだ。

まずは抵当権を設定する意味について簡単におさらいしておこう。

住宅ローンを組む場合には必ず必要な登記だ。

銀行はただお金を貸すだけでは貸し倒れになる可能性がある。

つまり、貸したお金が返ってこない、というリスクだ。

例えば借り手が突然失業したりして、ローンを返済できなくなることもあり得る。

そうなったときに備えて

"払えなくなったら家や土地は銀行がもらいますよ"

ということを示すための登記なのだ。 

登記事項証明書の権利部(乙区)がこの登記によって埋まることになる。 

 

私の場合は土地はキャッシュで家だけを対象にローンを組んだが

家は土地の上に建っているわけだから家だけを担保にはできない。

だから必然的に家と土地が抵当権設定の対象になる。

登記事項証明書の共同担保目録にはこういう内容が記載される。

 

住宅ローンを組む銀行を選ぶ際に、この登記を自分でできるかも条件の1つだった。

大手のMS信託銀行はハナから門前払いだった。

まったく相手にしてもらえない。

金利プランもカタログ値からビタ一文下げないと言われ、融通が利かない。

一方、地元の地方銀行は自分で登記をさせてもらえるかは応相談だという。

金利も大手レベルまで下げる変更を申し出てくれたので、好感触だった。

結局、支店が近く相談もしやすいということで、地方銀行で組むことに決めた。

 

前置きが長くなったが、いよいよ本題だ。

抵当権設定登記においては、ハウスメーカー(HM)と銀行の利害が相反する。

抵当権を設定するには家の所有権が私に移ってからでないとできない。

つまり保存登記が先だ。

HM側とすれば保存登記の前に残金を回収してしまいたい。

売買では通常、支払いが完了して初めて所有権が移るのだから、これは当然だろう。

しかし、残金の回収は住宅ローンを組んでからでないとできない。

対して銀行側は抵当権が設定されてからでないと融資はしたくない。

これもまた当然だ。

先にお金を貸したのに、実は抵当権が設定されてませんでした、では話にならない。

要はこういうことだ。

 

【HM側が理想とする流れ】

住宅ローンを組む(残金回収) ⇒ 保存登記 ⇒ 抵当権設定登記

【銀行側が理想とする流れ】

保存登記 ⇒ 抵当権設定登記 ⇒ 住宅ローンを組む(融資実行)

 

どうやったって並立しない。

そこで司法書士という社会的信用のある士業の人間に委託し、

抵当権設定登記の申請をした段階で登記完了とみなして速やかに融資を行う、

という流れが一般的だ。

多くの場合、保存登記も一緒に行われるため、上の流れにある3つの作業を

ほぼ同時に行うことでHMと銀行が負うリスクを最小限にしているわけだ。

 

この流れを理解したうえで、自分で抵当権設定登記を行うにはどうすればいいか?

私は非常に頭を悩ませた。

素直に司法書士に頼んじゃっても良かったのだが、せっかくここまできたので、

なんとしても最後まで自分でやってみたかったのだ。

必要なのはHMと銀行をそれぞれ説得する理屈だ。

私は司法書士ではないので、銀行は登記の申請をもって融資は多分してくれない。

社会的信用が足りないからだ。

だから登記と融資を同時に行うことは素人の私ではできないということになる。

そうなると上の2つの流れのどちらかを選択しなくてはならない。

選択とはいっても、答えは事実上1つだ。

登記の完了前に銀行に融資してもらうのは上述の通りさすがに無理だろう。

なので私は上の【銀行側が理想とする流れ】で登記することを前提として

HMと銀行を説得することにした。

 

まず向かったのは銀行だ。

【銀行側が理想とする流れ】がベースなので、こちらはそう難しくないはずだ。

私「抵当権設定登記を自分でやらせてもらえませんか」

銀「うーん、原則的にそれはできないんですが・・・」

私「抵当権設定登記がされていない状態で融資をすることがリスクなんですよね?」

銀「そうですね」

私「登記完了後、登記識別情報を入手してこちらに持参して確認してもらいますから」

銀「はい」

私「その後に融資実行、ということにすれば銀行側のリスクはないですよね」

銀「確かにそうですね」

 

ちゃんと理解してもらえた。

銀行側のリスクは確かにないのだが、異例の申し出だったために一瞬悩んだみたいだ。

登記、特に抵当権設定登記は司法書士に任せる、というのが業界標準なんだろう。

 

これで残るはHMだ。

HMとしては、融資実行前に私に所有権を移すことになる。

私に悪意がないとしても、もし抵当権設定登記でしくじったら残金回収が遅れる。

雲隠れなんかされたら家の所有権が移った後だともうどうにもできない。

もちろん残金も回収できなくなる。

そういうリスクがあるわけで、そんなことはないんだと納得してもらう必要がある。

保存登記で所有権を移してから融資実行まで数日のタイムラグはどうしてもできるが、

確実に残金は回収できる、と思ってもらえるように提案すれば良いのだ。

私はHMの営業担当に

「登記申請時と登記識別情報の受け取り時に法務局へ行きますので、同行して下さい」

「登記識別情報に関しては、その足で銀行に持っていきますので、そのときもぜひ」

 申請が間違いなく受理されたこと、そして登記識別情報を銀行に渡したこと、

この2つを監視して下さい、ということだ。

さらに、

「必要なら私が不正できないようにHMのフォーマットで一筆書いてもいいですよ」

とも付け加えた。

営業担当は

「わかりました、そこまでは求めませんのでお任せします」

意外とあっさりOKが出た。

まあ身分証明書や家族の名前、勤務先なんかも全部開示していたので

不良債権にはならない、と判断してくれたのだろう。

 

これでようやく抵当権設定登記を自分でするための準備が整った。

あとは書類を揃えて法務局へ申請するだけだ。