女の子の話その⑧ -Nちゃんへの懺悔-
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少し経ってから、なぜNちゃんは私への興味を失ったんだろう?と考えた。
本当に彼女だけが悪かったんかな?と冷静になれたからだ。
デートが学校の行き帰りの時間だけではやはりマンネリを招く。
おそらく彼女はそう感じていたのだと思う。
でも私はそうではなかった。
だから平日が待ち遠しくて仕方がなく、土日が早く終わらないかなとさえ思った。
そんな日常でも満足していたことも事実だが、それ以外の引き出しもまたなかった。
休みの日に会ってデートする?
どこで?
何すればいい?
全然思い浮かばなかったのだ。
一度だけ彼女から自宅に電話をかけてきてくれたことがあった。
当然うちも自宅なのでだいたいは親が出る。
私が彼女に電話しにくかったように、彼女もきっと葛藤はあっただろう。
でも勇気を出して電話してくれたのだ。
「なんか声が聞きたくなったの」
これ以上ない最高に嬉しい理由だ。
だが私は家族がいることもあって気恥ずかしく、また明日会えるんだから、
という理由をつけて話もそこそこに受話器を置いてしまった。
彼女は会うとたびたびストレートに「大好き!」と想いを言葉で伝えてくれたのに、
私は恥ずかしくて気の利いた言葉を言ってあげられなかった。
彼女がくれた贈り物に対してもお礼こそ言えど、その気持ちを形にして返せなかった。
何をあげて良いかもわからず、自分が選ぶもののセンスにも自信がなかったのだ。
どれもこれも完全に自分に都合が良いだけの言い訳だ。
彼女はきっとそういうところにも刺激のなさを感じていたのだと思う。
でも当時の自分にはその自覚がなかった。
ただ彼女のことが好き、という気持ちだけが武器の"一本足打法"だった。
彼女を楽しませてあげたい。
彼女を喜ばせてあげたい。
そういう視点がまったく欠けていた。
だから私の「彼女のことが誰よりも好きだ」という強い想いは、
きっと私が思っているほどNちゃんには伝わっていなかったのだろう。
「この人は本当に私のことを大切に想ってくれているのかな」
と疑問だったのかもしれない。
振り返るとNちゃんの前では格好をつけることばかりを優先していた。
教室では周りの目があるので、彼女の前ではできるだけクールな自分を演じていた。
そんな自分の姿は、2人きりのときもあまり変わっていなかった。
弱みを見せたって良かったんじゃないかとも思うし、
もっとONとOFFをはっきりさせるべきだったのかなあとも思える。
人は大切なものを本気で手に入れるためには懸命に悩み、努力する。
私もそうだった。
しかし一度手に入れてしまうとそこで満足してしまった。
例えは悪いが"釣った魚に餌をやらない"ということと同じだ。
Nちゃんは"釣った"後も私にちゃんと餌をくれていたのだから尚更だ。
本当はそれまで以上に、熱量を維持向上させるために努力しなくてはいけない。
一途に想い続けることだけが誠実とは限らない。
決して"愛があれば大丈夫"ではないのだ。
Nちゃんとのことを綴っていると、どうも気分が沈んで仕方ない。
あのときに味わった辛さが最近のことのように甦ってくる。
でもOKをもらえたときに感じたこれ以上ない幸福感もまた忘れられない。
悲喜こもごもあるからこそ尊い思い出になって心に残っているのかもしれない。
上にも書いたが、Nちゃんが私から去った理由は今なら察しがつく。
彼女に「飽きた」などと感じさせた私が悪かったのだ。
おそらく彼女は別れを切り出す際にもいたずらに長引かせず、
私にちゃんと筋を通そうとしてくれた。
彼女なりの誠意だ。
私とは釣り合わないくらいモテる子だったとは思うが決して軽い子とは思わない。
無理矢理にでも 自分を納得させるため、という大義名分があったとはいえ、
彼女にすべての責任を負わせて楽になろうとしたことは本当に後悔している。
Nちゃん、あのときは傷つけるようなことを言ってしまって本当にゴメン。
私に大切な思い出をたくさんくれたこと、そして短い間だったけど
私の彼女でいてくれたことに感謝しています。
ありがとうNちゃん!