女の子の話その⑦ -Nちゃんとの別れ-
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↓ 前回のお話 ↓
4月に入ってすぐ、私はNちゃんとちょっとしたすれ違いで小さな喧嘩をしていた。
そのため2週間ばかり顔を合わせていなかった。
そのさなかに友人からの忠告があったのだ。
胸騒ぎを覚えた。
その後すぐ、Nちゃんが私のクラスにやってきて久々に話しかけてくれた。
仲直りのきっかけにできないかな、私はそう思ったのだが、彼女は俯いている。
「今日の帰りに話したいことがあるから」
良くない話であることはだいたい想像がつく。
友人が話してくれたこととも多分関係があるのだろう。
その日の夕方、幾度も彼女と2人で時間を過ごした公園に向かった。
そして単刀直入に告げられた。
「他に気になる人がいるの・・・お付き合いを考えさせて」
恐れていた通りの結果だった。
だがここで拒否してしがみついても惨めなだけだ。
「わかった、結論が出せたら教えて」
答えは99%出ていると思ったが、彼女の決断を待つほかなかった。
そして数日後にもう一度、彼女から呼び出された。
「考えてみたんだけど・・・やっぱり別れてほしい」
「どうしてなのかできれば教えてもらえないかな?」
「一緒にいることがなんだか飽きてきたように感じるの」
彼女の言う"気になる人"というのは、彼女の部活の仕事を手伝いに来てくれた
同級生で、ちょうど私との関係に疑問を抱き始めた頃に知り合ったらしい。
そして私と喧嘩をしたタイミングもあり、距離が縮まったのだろう。
彼もまたきっと彼女のことが好きでお互い惹かれ始めていて、
もしかしたら彼からの告白まで受けていたのかもしれない。
それでNちゃんは私との関係を清算しよう、と考えたみたいだ。
結論は出された。
「じゃあ元気でね」
そう言い残して公園を走り去るNちゃんを私は黙って見つめるしかなかった。
その夜、私は人生で初めて心の底から泣いた。
だが、当時の私は自分の悪かったところに気付けないままでいた。
具体的に自分のどこがいけなかったのかわからない。
わからないから自分の中で素直に受け止められない。
私はなんとかして心のわだかまりを消化してしまいたいと焦っていた。
事の顛末を知った周りの友人たちは「お前は悪くない」と口々に言う。
内情を知らないのだから無理もない。
彼女が一方的に裏切って他の人に乗り替えたようにしか見えていなかったんだろう。
私もそういう声を都合よく解釈し、彼女を悪者にしてしまうことで収束を図った。
そうだ、一方的に心変わりした彼女が悪いんだ。
そう思い込ませることにした。
そして、彼女にもその思いを伝えないと終わらない気になっていた。
私は自宅の電話の受話器を手にしていた。
あれだけ忌避していたのに、このときは彼女の自宅へ躊躇なく電話していた。
そのときは彼女の親が出ようが気にならなかった。
それだけ早く心をリセットしたい思いが強かったのだと思う。
電話口に出た彼女に私は強めに言葉をぶつけた。
「あんたが・・・そんなに軽い子だとは思わなかったよ・・・!」
そんな意味のことを言ったように思う。
彼女は何も言わなかった。
電話を切った後、私はようやく自分の気持ちに区切りをつけることができたと思った。
でも本当はずっと変わらず好きなままの気持ちになんとか蓋をしただけだ。
その下では彼女を想う心の火は変わらず燃え続けていた。
あとは時間が解決してくれるのを待つしかなかった。
こうしてNちゃんとの夢のような時間は儚く終わりを告げることになった。
だが、彼女と交際していたときの私には多くの反省点がある。
そのへんのことを別記事で少し振り返ってみようと思う。