人生の雑記帳

思ったこと。気付いたこと。疑問。後悔。思い出。忘れたくないこと。そんなことを書き留めよう。

女の子の話その③ -気持ちの高まり-

\読者登録おねがいします/

↓ 前回のお話 ↓

donchang.hateblo.jp

何か月か過ぎ、夏になった。

Nちゃんとはどんどん仲良くなり良好な感じが続いていた。

昼休みに私が汗をかいて戻ったときにはそっとハンカチを貸してくれたこともあった。

「洗って返すよ」

「いいよそのままで」

感触は悪くない、いや、限りなくいい。

しかし恋愛偏差値の低かった私は、いくら好感触であっても

「こんな私を彼女は本当に気に入ってくれてるのだろうか?」

という疑問が常につきまとっていた。

f:id:Donchang:20210226093437p:plain

 

夏休みに入り、会えない日が続いた。

私は運動系、彼女は文化系の部活に入っていて、お互い学校には行っていたので、

たまに姿を見かけることはあったのだが会話を交わすことはできなかった。

 

そして二学期に入り、体育祭の日。

イベントは滞りなく終了したが、私のクラスでは打ち上げをやろうという話になった。

私は行かないつもりだったのだが、Nちゃんがもし来れば本音を聞き出せるチャンス

かもしれないと思い、出席することにした。

待ち合わせの駅についたとき、主催した男子が私にこう囁いた。

「Nちゃんも来るって言ってたよ」

彼は明らかに"良かったね"という顔をしている。

バレている。

私がNちゃんを好きなことはクラスの誰にも話していなかったのだが、

知られていることを知らなかったのは当の私だけだったみたいだ。

 

席替えで私が一番後ろ、Nちゃんが一番前になったときがあったのだが、

Nちゃんの隣になったAちゃんという子から私に

「席替わって欲しいんだけど、いい?」

と打診されたことがあった。

高校生にとって一番前の席ってのは嫌われ者だ。

普通なら断る。

でもNちゃんが好きな私ならきっとOKしてくれるはずだ。

多分そういう計算がはたらいている。

かくして私はAちゃんの狙い通りの返答をした。

とにかくNちゃんの近くにいたいという気持ちが勝ってしまったのだ。

バレて当然の成り行きである。

 

打ち上げの場にNちゃんは確かにやってきた。

そしてあろうことか、私の隣にきてくれた。

他の人が促したのか、彼女が自分で選択したのかはわからない。

でもそれによって私は彼女と初めて教室以外の場所で親密に会話することができた。

会も終わりに近づき、夢中でNちゃんと過ごしていた私が周りを見ると、誰もいない。

店内にはいるのだが、私のいるテーブルには自分とNちゃんの2人だけ。

どうも周りが気を使って2人だけにしてくれたっぽかった。

いよいよ自分の気持ちに決着をつけないといけない、という思いが高まった。

 

続いて中間考査があったのだが散々な結果に終わった。

一学期は130/650位くらいで上々の滑り出しだったのだが、

一気に450/650位まで下がり、おまけに初の欠点が2つ。

こんなに成績が落ちた理由はたったひとつ。

Nちゃんのことが気になりすぎて勉強にまったく身が入らなかったのだ。

食も細くなり、本当に食事が喉を通らない。

食べる気がしないのだ。

こういうことが本当にあるんだとそのとき知った。

このままではまずい。

「Nちゃんシンドローム」を何よりも先に解決しないことには勉強どころではない。

私は具体的に動こう、気持ちを伝えようと決心した。

・・・のだが、一歩目がなかなか踏み出せない。

先述の通り私は恋愛偏差値が非常に低かった。

だから「望まない結果」になることを過剰に恐れたのだ。

そして同じクラスの子である、ということもここへきて足枷になっていた。

距離を詰めやすい反面、フラれても半年近く同じクラスで顔を合わせることになる。

フラれたけどいいお友達でいましょう、なんて私にはとてもできない。

 

告白するためにはとにかく2人きりになれる時間が必要だ。

LINEもメールも携帯すらまだない時代、ツールといえば家の電話か手紙しかない。

しかしどちらも「親」という難所が待ち構えている。

とても使う勇気はない。

追い詰められていた私に、意外なところからホワイトナイトが現れた。