ピザ屋の裏話その③ -その筋のコワいお客さん-
\読者登録おねがいします/
ピザ屋の閉店時間は結構遅い。
夜は11時まで注文を受けていたので、仕事が終わるのが12時近くなることもある。
そんな早く帰れるかどうかの瀬戸際の時間帯にいつも注文をしてくるお客さんがいた。
営業している以上はいつ注文をもらったからといって文句を言ってはいけない。
だが決まって10時58分くらいになると電話が鳴るのだ。
電話に出ると決して住所を言わない。
どこそこの交差点まで出ていくから、近くまで来たら電話しろ、の一点張りだ。
そして言われた通り電話すると、それらしき人が交差点にいるのが見えた。
どう見てもその筋の方だ。
学生アルバイトが事務所とかに来られるとまずい理由でもあるんだろうか。
そもそもヤ〇ザ屋さんもピザ頼んで召し上がるんですね。
そう思うとちょっと微笑ましい気持ちになるが、代金のやり取りで目が覚める。
何にも言わず現金を乱暴に手渡してくる。
お釣りを準備するこちらの手が少し震える。
時間も時間だし、人通りもほとんどない場所だ。
ここで機嫌を損ねるような真似したらタダでは済まない・・・多分。
落とさないように丁寧にお釣りを渡すと何も言わずに去っていくヤ〇ザ屋さん。
何回か持って行ったことがあったが毎回ほとんど同じやり取りだ。
怖かったが、事務所というものの中を見てみたかった気もする。
堅気の人間がそうやすやすと入れる場所じゃないからな。
この仕事をしていたからこそ遭遇することって結構ある。
こんな風に記憶に残る出来事をこれからいくつか書き留めてみる。