人生の雑記帳

思ったこと。気付いたこと。疑問。後悔。思い出。忘れたくないこと。そんなことを書き留めよう。

女の子の話その⑬ -海外からやってきたRちゃん-

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社会人になってからのことだ。

仕事を始めて数年、ようやく慣れてきたころ私の勤務先に

海外から研修生がやってきてトレーニングをすることになった。

20代前半のフィリピン人の女の子だ。

名前をRちゃんといった。

小柄で非常に可愛らしい子だ。

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私が仕事のやり方を教えることになったのだが、やり取りは当然英語。

なかなか言いたいことが伝わらない。

そんな中、彼女が私に「今月誕生日なの」と話してくれた。

 

私は彼女と距離を縮めたくて日本ぽいアクセサリをあげた。

彼女は想像以上に喜んでくれた。

こういうことは海外の子だったから迷いなくできたような気がする。

このことがきっかけで彼女とは一気に距離が近くなり、言葉も通じ合うようになった。

でも彼女は半年後には帰国してしまう。

これ以上は望むまい、と思うに留めていた。

 

ある日、彼女がトレーニングしている職場の日本人の女性が私に

「Rちゃん、あんたのこと好きなんだって」

ストレートに言ってきた。

当然、悪い気はしないがどうすりゃいいんだろう、と困った。

確かに仲良くなれたらいいなと思って贈り物もしたし、親しく話せるようにはなった。

でも彼女が日本にいるのは半年限りの期限付きなのだ。

あまり本気になってしまっては後でお互いに傷つく。

私は彼女の気持ちを嬉しく思いながらもそれまで通りに接することにした。

まあ私は結婚もしていたし当然といえば当然だ。

 

そして時は進み、彼女の帰国前日、最後の勤務日のことだ。

休憩時間に彼女は私のもとに来て、1枚の便箋を渡してくれた。

私はトイレに籠り、読んでみることにした。

そこには彼女の気持ちがびっしりと綴られていた。

英語で書かれてはいるが、だいたいの意味はわかる。

"誕生日にお祝いしてくれたこと、優しく仕事を教えてくれたこと、

笑顔で話しかけてくれたこと、などが不安な異国の地ですごく嬉しかった、

私にはあまりお金がないから日本にはもう来られないかもしれないし、

そうするともう会えないと思うとすごく寂しい"というようなことが書かれていた。

私は彼女の純粋な気持ちに心を打たれた。

涙が出そうになる。

 

私は彼女を急いで呼び出し、仕事を終えた後に職場近くの公園で待ってて、と伝えた。

彼女は時間通りに来てくれた。

仕事を離れて2人きりで英語でやり取りする、というのは間が持たなかったが、

私たちはお互いに最後の時間を惜しみ、ギュッとハグをして別れた。

 

帰国後、彼女は何通もメールをくれた。

会えなくて寂しい、本当に楽しい半年だった、もう一度会いたい、等々だ。

しかしもう現実的に会うのは難しいし、この距離ではどうにもならない。

Rちゃんとのことは文字通り束の間の思い出だ。

 

外国人の女の子と知り合う機会なんてそうそうないし、

一瞬だったが仲良くなれたこともすごく楽しい経験だった。

国際結婚する人たちってすごいんだな。