人生の雑記帳

思ったこと。気付いたこと。疑問。後悔。思い出。忘れたくないこと。そんなことを書き留めよう。

ピザ屋の裏話その⑨ -ポスティングというお仕事-

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ピザ屋というのは基本、ヒマな時間の方が多い。

混むのは夜6時頃あたりと休みの日の11時半頃で、要は食事時。

だいたい自分たちが御飯食べたいときに限って混むのは飲食店の宿命だ。

あとの時間帯はアルバイトは多くてもデリバリー2、メイキング2くらいで十分回る。

私がそうだったように、両方やらされる人間は突然注文が立て続けにくると

一時的にエプロンつけて生地を延ばしてトッピングしてオーブンに入れ、

焼けるまでに着替え、自分で作ったピザを自分で持っていく、ということもある。

これ、実際やってみるとものすごく空しい。

やっぱり女の子が作ってくれたピザを持っていく方がなんか嬉しいのだ。

なんかこう、協力して1つの仕事やってる感があるんだな。

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で、ヒマなときに何やってるかというともちろん雑談。

この時間があるから女の子と距離が縮まる・・・今回はそれは置いておく。

実際には「ポスティング」といって店のチラシを各家庭のポストへ配る仕事がある。

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この人選はマネージャによってある程度ランダムに行われる。

基本は2人組以上で、男ばかりのこともあれば男女ペアってときもある。

時間は2〜4Hくらい与えられ、何百枚というノルマが課せられる。

戸建てで数を稼ぐのはかなりしんどいので、狙いはやはり集合住宅だ。

1箇所でかなりの枚数が捌けるし、集合ポストを使えば非常に早い。

だがマンションの集合、集合ポストにゴミ箱が備えられてることも多く、

大半の住人がその場で捨ててしまうことが想定される。

それを避けるために、集合ポストじゃなくて各戸のドアポストに入れろ、

というお達しが出るのだが、そんな面倒なことやってられるかあ。

そもそもオートロックだとできないもんね。

学生アルバイトなんて基本どうやって楽するかしか考えない。

ましてや放し飼いなのだ。

当然「仕事なんかしない」という選択肢が浮上する。

真面目にやらないと決めたときの選択肢はだいたい次の4つのどれかだった。

 

茶店でくつろぐ

よく行く店はビリヤードが併設されていたのでいつもやってた。

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2、3時間なんてあっという間だ。

「給料もらってビリヤードやっちゃってるけどいいんかな?」

などと背徳感を楽しみながら玉を突いてた。

いいわけないじゃん。

 

誰かの家でくつろぐ

アルバイト、特に私も含めた男連中は一人暮らしが多かったので、

誰かの部屋に籠城して雑談したりゲームしたり、というのも定番だった。

女子高生と組まされたときに自分の部屋で茶飲み話したときは楽しかったなあ。

 

ゲーセンにいってくつろぐ

この場合はその日の稼ぎはここで消える。

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ドライブに出かける

これは途中で事故を起こしたりすると間違いなくクビが飛ぶので注意が必要だ。

あとは帰る時間を計算に入れておかないといけない。

ちょっと遠出してしまって渋滞に巻き込まれたりすることもあるので

緊急時には高速使ってでも時間までに戻る覚悟が必要だ。

 

まああの手この手でサボる方法を熱心に考えるわけだが、

撒かなかったチラシはどうなるか。

店に持ち帰れば残数があまりにも多いからやってないことが確実にバレる。

だから誰かがそのまま預かる。

全部じゃなく、少し残すのがポイント。

頑張ったんですけどちょっと余っちゃいました、がリアリティがあっていいからだ。

こういう悪知恵だけはなぜか働く。

で、預かった大量のチラシはどうするのか。

古新聞で出すとタレこみなんかで足がつく可能性がある。

証拠は隠滅しないといけない。

そう「燃やす」のだ。

政治家の皆さんのようにシュレッダーがあれば楽なんだが、

学生はそんな高価なものを持てないので原始的な手法しか採れないのだ。

見たことある人は多いと思うが、ピザのチラシというのはすごく丈夫にできてる。

表面ツルツルの両面カラーで少々水をこぼしても簡単にしみこまないタイプのやつだ。

実際これに火をつけようとしてもなかなかつかない。

ようやく着火したと思ってもなかなか延焼していかない。

一言でいうと実に燃えにくいのだ。

私の部屋にも置き場に困るくらいすごい量のチラシがたまっていた。

おそらく5000枚はあったと思う。

一人暮らしの人間が預かるのが一番簡単なので、どうしても保管場所が偏るのだ。

 

ある夜、意を決して何人かの助っ人を呼び出す。

人目につくと不審に思われる作業なので、海まで運ぶ。

何枚かをドラム缶に投入し、着火剤の助けを借りて点火。

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なるべく紙と空気が触れる表面積が増えるように、

少しくしゃくしゃっとして次々と投入する。

このへんの作業は人海戦術だ。

そしてしっかり空気を送り込めば、時間はかかるが何とか燃えてくれる。

全部燃やすのに一晩近くかかったと思う。

残った灰は持って帰ってゴミで出す。

これで証拠隠滅は完了だ。

 

なんかちゃんと配った方が楽だったんじゃないかと思う。

 

もちろん、ちゃんとやったことも何回かはあったが、

マネージャも外でサボッてるくらいのことはおそらく想定してたんじゃないかな。

多分新聞折り込みより安く済むからアルバイトにやらせるんだろうけど

今もこの方法でやってるんだろうか?

食べたい人はチラシがなくても検索するだろうから廃れてるような気がするな。