人生の雑記帳

思ったこと。気付いたこと。疑問。後悔。思い出。忘れたくないこと。そんなことを書き留めよう。

女の子の話その⑱ -Eちゃんとの交際とタイムリミット-

↓  前回のお話

donchang.hateblo.jp

私がEちゃんとの関係で少し心が揺れ動き始めたときに重なったのが

東海地方に住むYちゃんが1人で私に会いに来るという、あの件だ。

donchang.hateblo.jp

Yちゃんを迎えに行く前日の夜、Eちゃんから私に誘いの電話があった。

 

「今から晩御飯一緒に食べに行きたいな・・・いい?」

「いいけど明日朝早いから食べるだけで遊べないけどそれでもいい?」

「いいよ、どっか行くの?」

「別の子と旅行行くことになってて、空港までその子を迎えに行くから」

「・・・そうなの、わかった気を付けてね」

 

だいぶ前から決まっていたことでもあったし、誰と付き合ってるわけでもないし

隠しごとが苦手だったので経緯から何から洗いざらい話してしまった。

今思うと黙ってるのが思いやりだったのかもしれないな。

でも私は2人のどちらが好きなのかも自分でもわかっていなかったし、

まずはYちゃんとの答え合わせを先にしようと考えていたのは確かだ。

御飯を食べている間も送っていくときも彼女はいつもの明るさがなかった。

やっぱり気になってたんだろうなあ。

f:id:Donchang:20210311221020p:plain

 

結果的にYちゃんとの旅で何も起こらなかったのは別記事で書いた通りだ。

もしかしたらYちゃんに「ときめかなかった」ことは必然だったのかもしれない。

多分その時点で私の気持ちは決まっていたのだ。

Yちゃんを空港に送って別れた後、その足でEちゃんの住むマンションに向かった。

このときに彼女と会った私は自分の気持ちに気付くことができた。

 

彼女が好きだ。

 

そしていつの間にかチューしていた。

そしてもちろんその場で付き合うことになった。

ドキドキする間もないスピード決着。

気持ちに任せて体が勝手に動いたので自分でも驚いたくらいだ。

彼女はちょうど晩御飯の準備をしていたところだったみたいで

なぜか私が来るんじゃないかという気がして2人分用意していたらしい。

私は彼女に引き寄せられていたのかもしれない。

 

こうして私たちは交際を始めたのだが、一緒にいられる時間にリミットがあった。

このとき既に私は就職が決まっており、春には関東地方へ引っ越すことになっていた。

時間にしてあと半年くらいしかない。

残されたわずかな時間を惜しむように、私たちは同じ時間を過ごした。

親の目がないので、どっちかの部屋で寝泊まりすることも多くなる。

私がアルバイトに出ている間、彼女が私の部屋で帰りを待つなんてこともあった。

もはや半分同棲みたいなもんだ。

だが、残された時間が少ないことを意識する日が徐々に増え、

彼女は涙を見せることが多くなった。

そのたびにお互いの気持ちを確かめ、前を向く。

 

すれ違いで喧嘩をしてしまった夜、私が自宅に戻った直後に彼女は電車でやってきた。

ドアを開けると泣きながら

 

「こんなことしてる場合じゃないのに・・・あとちょっとしかないのに・・・!」

 

本当にその通りだった。

喧嘩してそっぽ向いてる時間があるなら一刻も早く仲直りした方がいい。

大した理由でもないのに喧嘩したことを後悔しながら彼女を抱きしめる。

 

そして春になり、ついにその日がやってきた。

女の子の話その⑰ -アルバイトで出会ったEちゃん-

私が北海道に住んでいた最後の年。

ある女の子がアルバイト先に入ってきた。

Eちゃんという子だ。

第一印象特に私の好みのタイプの子ではなく、ズキューンとなったわけではない。

のんびりした子で人懐っこく、人に優しい。

自炊もしっかりしていてちょっと家庭的。

そんな印象の子だ。

f:id:Donchang:20210311222251p:plain

私がメイキング中心になっていたこともあって、話す機会も多く

RPG好きとかの嗜好が一致してたこともあってすっかり仲良くなった。

f:id:Donchang:20210310202232p:plainf:id:Donchang:20210310202241p:plain

彼女は聞き上手で物腰が非常に柔らかい。

恋愛の対象ってわけじゃなかったんだが、だからこそというべきか

仕事が終わった後にたまに御飯食べに行ったりドライブしたりするようになった。

彼女は4つ年下で、私とは別の大学に通っていたのだが、

一緒にいて楽しいしすごく気持ちが楽なのだ。

別記事で書いたMちゃんとの関係とだいたいおんなじだ。

 

後に気になる子に進化するとはそのときは当然わからんわけで、

まったく異性として意識せず格好をつける必要もなかったから、

きわめて素のまま彼女と一緒の時間を過ごしていた。

Mちゃんのときもそうだったが、そういうときに限ってスムーズに事が運ぶ。

気付くと学校と仕事以外の時間は彼女といる時間が多くなり、

お互いに一人暮らしだったため、それぞれの部屋に遊びに行くようにもなっていた。

f:id:Donchang:20210310202616p:plain

もちろん本当にゲームとかして遊ぶだけでその先は何もない。

私にその気がなかったのだから当然だ。

競馬場が近かったので馬を見にいったこともあったんだが、

そのときも彼女はサンドイッチを作って持ってきてくれた。

もう完全にデート仕様だ。

 

ある日、夜遅くに肝試ししに行ってみようか?ということになり、

郊外にある人気のない貯水池に2人で行ってみた。

確かに真っ暗で非常に怖い。

そして歩いているうちに自然に手を繋いでいた。

暗くて怖い場所だったことが距離を縮めたのかもしれない。

私も少しずつ彼女を意識し始めていたということなんだろう。

いつの間にか彼女がストライクゾーンの中に入ってきていたのだ。

確かに一緒にいて「可愛いな」と思えるようになっていた。

とはいえ関係が進展したわけではなく、その日はそこまでだ。

 

そしてまた別の日、彼女の部屋で2人でゲームして遊んだ後、

かなり遅くなったので私が帰ろうとすると、彼女が私に言う。

 

「もう帰っちゃうの?」

 

もう、って日付変わりそうなんだからそりゃ帰りますよ。

お互い一人暮らしとはいえ、さすがに泊まることは憚る。

でもこれは結構な殺し文句だ。

あれ、この子自分のこと好きってことなのかな?

玄関へ向かいドアを開けたとき、彼女は手を振りながら

 

「また来てね」

 

うーん、男性本能をくすぐられる。

自分自身も彼女のことが好きならここで結論を出していたかもしれない。

でも少し意識し始めていた程度の段階でそれはまだできない。

 

しかしここで別の女の子の話が交差することになってしまった。

女の子の話その⑯ -Nちゃんとの初詣デート-

↓ 前回のお話 ↓

donchang.hateblo.jp

脱"放課後制服デート"の3つ目はこれ、"初詣"だ。

制服以外でNちゃんと会ったのはこのときが最初で最後だ。

デートっていうと行くところから何から全部考えないといけないのだが、

そういう選択肢が乏しかった私にとって、出かける大義名分がある方がありがたい。

それが初詣だった。

f:id:Donchang:20210304230330p:plain

別に信心深いわけではもちろんなく、ただ彼女と学校以外で会う機会を作りたい。

考えて考えて辿り着いた唯一の答えがこれだったのだ。

 

↓ の記事で書いたが、終業式の後に駅でNちゃんからリボンをもらった日。

donchang.hateblo.jp

冬休みに入ってしまうので、約束するならこの日しかない。

電話は親経由になるのが確実なので、とてもじゃないがかけることはできない。

私は思い切ってNちゃんに31日の夜に京都行かない?と誘ってみた。

本当は夜遅めに出かけて何か所か回って初日の出見て朝方帰ってくるってのを

したかったんだが、さすがにまだ16歳の女の子だ。

親が許してくれないということで、遅くともその日のうちに帰す必要があった。

正月に入ってから昼間に行けばいいじゃない、と思うところだが、それは違う。

私はこのデートで、なんとしても初キスをしたいと考えていたからだ。

やっぱり昼間より夜が望ましい。

そうなるともはや初詣ではないが、それはもうどうでもよかった。

夜通しあれば1つや2つチャンスあるだろ、って思ってたんだが

その目論見が崩れたいま、日付が変わる前になんとかしなきゃいけない。

私はいろんなプランを考えては妄想と逡巡を繰り返していた。

なんという幸せな時間の過ごし方か。

 

そして迎えたその年最後の日の夕方。

彼女はちゃんは待ち合わせ場所に時間通りに来てくれた。

付き合ってんだから当たり前といえば当たり前なんだが、

自分のためにちゃんと約束を覚えていてくれたことがなんだかとても嬉しい。

初めて見るNちゃんの私服姿にドキドキしている自分がいる。

制服もいいが私服になると全然違った印象に見えるから不思議なものだ。

もちろんどっちにしても私から見れば最高に可愛いNちゃんであることに変わりない。

電車に乗って京都に向かう。

初めて2人きりでお出かけだ。

もう頭の中は完全に舞い上がっちゃってる。

いつもの学校の帰りではないので知り合いに会うこともまずない。

空いてたこともあって車中ではずっと彼女の手を握り、ただ幸せに浸っていた。

f:id:Donchang:20210304231159p:plain

 

京都に着き、年明けまではまだかなりある早い時間だがお参りをする。

タイミング的には初詣、というよりはその年最後の懺悔という感じになってしまった。

もちろん、彼女とずっと幸せでいられますように、という願いだったが、

どうやら神様は聞いてくれてなかったみたいだ。

あまり長い時間滞在すると日付が変わってしまう。

すぐに戻らないと。

まるでシンデレラだ。

そして私が自分に課した重要なミッションがまだ残っている。

その時間も確保しておかないと。

もちろんどれだけ時間を要するかは自分の持っていき方次第だ。

最初に待ち合わせた場所に戻ってきたのが夜の9時くらいだったと思う。

ここから自宅までは私は自転車、彼女は電車で1駅のところだ。

このまま駅まで送ってしまったら温めていた計画が無駄になる。

今こそあの妄想を現実に変えるときなのだ。

とにかくまずは舞台を整えないと。

少し話さない?といって彼女を駅近くの小さな公園に連れて行く。

人気もなく真冬の暗く寒い公園だ。

f:id:Donchang:20210305080554p:plain

京都まで往復してたっぷり時間はあったのにこれ以上何話すんだ?

という気もするが、目的がそこではないのでそれは置いておく。

どのくらいの時間、何を話したのかまったく覚えていないが、

とにかく時間が気になって仕方がなかったことは覚えてる。

話をしながら、どういう展開に持ち込んでいくべきか・・・と悩み倒したが、

何を話してても自然に致す流れにはどうしてもならない。

イムリミットがどんどん迫るし、とにかく寒い。

半ば開き直り、思い切って

 

「クリスマスのリボン、どうもありがとう」

「・・・目瞑ってもらっていい?」

 

会話の流れとかもう完全にどっかいっちゃってる。

というかどうせたいしたストーリーなんか作れないんだから

最初から潔くストレートにこうすりゃ良かったのだ。

かなり強引な流れではあったがようやく本懐を遂げた。

彼女は黙って受けてくれたのだが、その後はお互いなんか必要以上に照れて

意識してしまい、さっきまで弾んでいた会話が嘘のように沈黙の時が流れた。

日付が変わる前に彼女を駅まで送り、ようやく家に帰る。

 

帰ってきた私に母が聞いてくる。

「何しに出かけてたんや?」

「うん、友達と遊びにね・・・」

ウソつけ。

彼女と会って親に話しにくいこと済ましてきたんだろ。

 

長い長い夜だった。

時間にして5,6時間程度のことだが、疲れと達成感が同時にやってくる。

家族は紅白を平和に見ており、例年と変わらない年末の光景だ。

私だけがいつもと違う年末になっており、なんか落ち着かず挙動不審になっていた。

夢見心地でボーッと紅白を見ている家族の姿を眺めてた記憶がある。

 

女の子の唇ってあんな柔らかいんだなあ、って知った思い出の1日。

女の子の話その⑮ -Nちゃんとの"マラソン大会"デート-

↓ 前回のお話 ↓

donchang.hateblo.jp

脱"放課後制服デート"の2回目のチャンスはマラソン大会のときだ。

f:id:Donchang:20210304230020p:plain

11月だったから確か合唱コンクールと立て続けだったと思う。

ラソン大会って小中学校のときは学校がスタート地点で

外に出て馴染みのある場所をあちこち回ってまた学校に戻ってくる、

ってスタイルだったのだが、私の高校ではそういう方式ではなかった。

多分学校周辺の道がかなり狭くて交通量も多かったためだと思うが、

会場に使われたのが長居陸上競技場という大阪府内でも実に立派なスタジアム。

この競技場を出て周囲にある公園を周回して競技場に戻ってゴールする。

男子は10km走だったためかなりハードだ(女子は確か7kmだった)。

 

まあ走る距離なんかどうだっていいのだ。

このときも頭の中はNちゃんのことしか考えてなかったから。

イベントが終わり、制服に着替えた人から三々五々解散になる。

まだ時間は早くて昼頃だ。

遠いので全員が電車で来ており、同じ駅に向かう。

ほとんどが仲のいい友達同士のグループで歩いている中、

私はNちゃんと2人並んで歩く。

こういうときに

 

「自分はなんて幸せもんなんだろ・・・」

 

って嚙みしめたものだ。

このときの条件は合唱コンクールのときとほとんど同じだ。

周りに生徒いっぱい、時間も早くて明るい、一緒にいられる時間はいつもより長い。

だがあのときと決定的に違うのは、容易に"寄り道"できる環境だったことだ。

合唱コンクールは駅まで歩くことは同じだったし、寄り道はしにくかったのだが、

今回は途中で天王寺とか梅田にも行ける場所だ。

しかも昼過ぎで時間は十二分にある。

"放課後制服デート"を脱却する第一歩としてはこのうえない舞台設定だ。

制服に抵抗があるなら途中トイレとかで着替えれば済む話だ。

だが結局私はいつも通り、2人でお喋りをしながら帰るだけの選択しかできなかった。

まだ付き合いたてだったから、ということももちろんあるんだが、

そうでなくても、"寄り道していこう!"という引き出しすらなかったことが

私がいかに幼かったか、という証明だ。

休日にデートするのが照れくさくてできなかったんだから、

こういう機会をもっと効果的に利用すれば良かったんだよなあ。

まあ日曜日とかに誘いづらかったのは恥ずかしいから、という理由だけじゃない。

平日は毎日一緒にいる時間があって、土曜日も部活の時間によっては一緒にいられる。

日曜日まで会ってたら毎日になってしまい飽きられちゃうかなあ、とか

彼女も友達と遊んだりしたいんじゃないかな、とか考えちゃったってのもある。

ストレートに聞いてみればいいだけなんだが、それもやっぱりできなかった。

肝心なことのコミュニケーションが決定的に不足してたんだな。 

 

惜しむらくは、こういうイベントが付き合いだして間もなくだったことかな。

これがせめて2ヶ月くらい後だったら、私の行動もちょっとは変わったかもしれない。

・・・いや、考えてみたけど多分一緒だな。

だって半年たってもたいして変わらなかったからフラれちゃったんだもん、多分。

女の子の話その⑭ -Nちゃんとの"合唱コンクール"デート-

↓ 前回のお話 ↓  

donchang.hateblo.jp

ちょっと時間を戻す。

本編では悲しいサヨナラとなってしまった高校時代のNちゃんだが、

記事でも書いたように彼女とは "放課後制服デート" ばかりだった。

当然ワンパターンになってしまうわけだが、その慣例を破れる機会が3回ほどあった。

その1回目の話だ。

 

私の通っていた高校では毎年合唱コンクールなるものが開催されていた。

f:id:Donchang:20210304225259p:plain

11月だったのでまだ付き合い始めて半月くらいの頃。

幸せ真っ只中の実に初々しいときだ。

全校生徒が一堂に会するのだが、当時の生徒数は総勢2000人近かったので

学校の体育館では手狭であり、隣市のイベントホールまで移動が必要だった。

歩きなので30分くらいかかる。

彼女とは前日に一緒に帰る約束はもちろんしている。

もう当時の私にとって最優先事項だといっていい。

イベントが終わり、どちらからともなくお互いを探し目が合ってまた嬉しい。

私にとってはコンクールはどうでもよくて、ここからの時間こそがメインイベントだ。

しかも今日はいつもと違って歩く距離が長い。

共有できる時間も長くてたくさん話せるし周りの景色だって違う。

制服デートである点は同じなんだが、いつもの通学路ではない分

なんかちょっと非日常感があっていい。

でもいいことばかりではなく、いつもと違うよくない点もある。

 

時間が早くて明るい!

普段は部活が終わってから帰るのでだいたい6時くらいなのだが、

授業時間を使ったイベントなので3時か4時には終わってしまう。

その日は部活もないのでそのまま現地解散なのだ。

やっぱり薄暗い時間でないといいムードにならない。

 

全校生徒が一斉に帰る!

2000人が一斉に同じ場所から帰路につくわけだ。

もちろん方々に散るのだが、電車通学組はほとんどが同じ方向に歩き出す。

歩道がうちの学校の生徒で埋まるのだ。

 

この2つがあったため、なんか落ち着かない。

せっかくいつもと違う雰囲気なのに手も繋げないし、周りから何度も声をかけられる。

 

「おふたりさん仲いいねー!」

 

だいたいこんな声なんで嫌な気はしないんだが、やっぱりちょっと気恥ずかしい。

頼む、2人にしてくれ。

私の願いも空しく駅まで人混みはあまり緩和されず、結局いい雰囲気は作れなかった。

でもたくさん話すことはできたしそれはそれで楽しい時間だった。

多分3時間でも4時間でも平気で歩けたと思う。

好きな子と一緒にいる時間って魔法がかかるからね。

 

今思えば、会場を出るタイミングをちょっと遅らせれば良かったんだな。

そうすれば人も減るしちょっとは薄暗くなるしで、いい感じになれたのに。

逆に早い時間を利用してどっか行こっか、ってことも言えたはずなんだが、

まあまだキャリア半月の16歳じゃそこまで考えるのは無理だったか。

ホント目の前のことしか見えてなかったもんなあ。

まだわずかしかない選択肢を懸命に駆使しながら幸せを感じていたということだな。

女の子の話その⑬ -海外からやってきたRちゃん-

社会人になってからのことだ。

仕事を始めて数年、ようやく慣れてきたころ私の勤務先に

海外から研修生がやってきてトレーニングをすることになった。

20代前半のフィリピン人の女の子だ。

名前をRちゃんといった。

小柄で非常に可愛らしい子だ。

f:id:Donchang:20210227140707p:plain

私が仕事のやり方を教えることになったのだが、やり取りは当然英語。

なかなか言いたいことが伝わらない。

そんな中、彼女が私に「今月誕生日なの」と話してくれた。

 

私は彼女と距離を縮めたくて日本ぽいアクセサリをあげた。

彼女は想像以上に喜んでくれた。

こういうことは海外の子だったから迷いなくできたような気がする。

このことがきっかけで彼女とは一気に距離が近くなり、言葉も通じ合うようになった。

でも彼女は半年後には帰国してしまう。

これ以上は望むまい、と思うに留めていた。

 

ある日、彼女がトレーニングしている職場の日本人の女性が私に

「Rちゃん、あんたのこと好きなんだって」

ストレートに言ってきた。

当然、悪い気はしないがどうすりゃいいんだろう、と困った。

確かに仲良くなれたらいいなと思って贈り物もしたし、親しく話せるようにはなった。

でも彼女が日本にいるのは半年限りの期限付きなのだ。

あまり本気になってしまっては後でお互いに傷つく。

私は彼女の気持ちを嬉しく思いながらもそれまで通りに接することにした。

まあ私は結婚もしていたし当然といえば当然だ。

 

そして時は進み、彼女の帰国前日、最後の勤務日のことだ。

休憩時間に彼女は私のもとに来て、1枚の便箋を渡してくれた。

私はトイレに籠り、読んでみることにした。

そこには彼女の気持ちがびっしりと綴られていた。

英語で書かれてはいるが、だいたいの意味はわかる。

"誕生日にお祝いしてくれたこと、優しく仕事を教えてくれたこと、

笑顔で話しかけてくれたこと、などが不安な異国の地ですごく嬉しかった、

私にはあまりお金がないから日本にはもう来られないかもしれないし、

そうするともう会えないと思うとすごく寂しい"というようなことが書かれていた。

私は彼女の純粋な気持ちに心を打たれた。

涙が出そうになる。

 

私は彼女を急いで呼び出し、仕事を終えた後に職場近くの公園で待ってて、と伝えた。

彼女は時間通りに来てくれた。

仕事を離れて2人きりで英語でやり取りする、というのは間が持たなかったが、

私たちはお互いに最後の時間を惜しみ、ギュッとハグをして別れた。

 

帰国後、彼女は何通もメールをくれた。

会えなくて寂しい、本当に楽しい半年だった、もう一度会いたい、等々だ。

しかしもう現実的に会うのは難しいし、この距離ではどうにもならない。

Rちゃんとのことは文字通り束の間の思い出だ。

 

外国人の女の子と知り合う機会なんてそうそうないし、

一瞬だったが仲良くなれたこともすごく楽しい経験だった。

国際結婚する人たちってすごいんだな。

女の子の話その⑫ -4年もつないだ縁だったけど・・・-

↓ 前回のお話 

donchang.hateblo.jp

Yちゃんに3年ぶりに再会し、さらに手紙のやり取りが続いた1年後、

今度は彼女から意外な提案があった。

まとまった休みが取れたから、前回行けなかった遠くの観光地を案内して、という。

今回は彼女1人で来るとのこと、しかも私個人への依頼だ。

つまり2人で泊まりがけの旅行に行こうということだ。

私は嬉しいと同時に少し戸惑った。

どういう意図でこちらに来たいと言っているのかまではわからない。

私を気に入ってくれていて、交際に発展させたいと思っているからなんだろうか。

それともまったくその気はなく本当に観光したいだけなのか。

でもそれだとさすがに2人きりで泊まりの旅行を提案してくることの説明がしにくい。

私はもう一度自分の気持ちの答え合わせもしたくて、彼女を空港に迎えに行った。

 

1年ぶりに会った彼女は前回からそれほど変わりはない。

車中では昨年会ったときと同じように話すことはできる。

傍から見ればどう見ても付き合っている2人だ。

そして初日の観光が終わり、その日の宿へと向かった。

だが1年前と同じく彼女に対して特別な感情はやっぱり湧いてこない。

泊まりは旅館であり寝るときも同室だったのだが、指一本触れることなく朝になった。f:id:Donchang:20210309220622p:plain

こんなチャンスは2度とないと思える最高の舞台設定ではあったのだが、

肝心のYちゃんという異性に対してどうしても気持ちが盛り上がらなかったのだ。

 

翌日も同じような流れで過ごしたのだが、彼女の態度がどうも初日と違う。

初日の無邪気な笑顔があまりなく、受け答えにも若干の冷たさが感じられた。

夜寝るときも前夜とは違って私と距離を置いていた。 

 

そしてその次の日、空港まで彼女を送り届けて旅は終わった。

夜はもちろんだが、歩くときに手をつなぐことさえなかった。

今回の経緯を考えると、彼女は私が先に動くのを待っていたのかなと思う。

私の気持ちが確認できたら応えようと思ってくれていたのかもしれない。

でも私が何もアクションを起こさないので彼女は落胆したのではないだろうか。

 

真相は闇だ。

それ以降彼女からはまったく連絡が来なくなったことを考えても

やはりあの旅で、Yちゃんに対して気のある素振りをみせない私に

2日目の態度の変化もあって、彼女が見切りをつけたと思えてならない。

私の方はやはり、もっと一緒にいたい、と思えなかったのがすべてだと思う。

せっかく4年もつないだのに、なんかちょっと寂しい終わり方だった。 

 

いろんな女の子のことを綴ってきたが、こちらから好きだという気持ちが

結局持てなかったのは唯一このYちゃんだけだ。

出会いからのストーリーはかなり良かっただけに、そこはちょっと残念ではある。

自分のように、出会いをうまく生かすのが下手な人間に神様も酷なことをするものだ。

だが、なぜこのときYちゃんに気持ちが高ぶらなかったのか、

その理由のひとつが後に判明することになる。

それはまた別の記事で書いてみることにする。

女の子の話その⑪ -Yちゃんとのちょっと不思議な縁-

私が大学2年生のとき、同い年のYちゃんという東海地方から来た子と知り合った。

友達と短大の卒業旅行できていた彼女は、私の大学の友人の中学時代の同級生で、

幼馴染ともいえる彼に連絡を取ってやってきたとのことだった。

付き合っていたわけではなかったそうだ。

f:id:Donchang:20210227141958p:plain

本当にどこにでもいそうな、いかにも短大生という感じの子たちだ。

せっかく来てくれたのだから、と彼女たちを大勢でビアガーデンで歓待した。

酒も入ってもう誰彼ともなく大はしゃぎだ。

彼女たちもさすが短大生というべきか、全然違和感なく溶け込んでいる、

どのくらい飲み食いして騒いだんだろうか、ようやくお開きとなったのだが

彼女たちがいつどうやって宿に戻ったのか全然覚えていない。

後で聞いたら全員トイレで吐いていて大変だったらしい。

ハメ外しすぎだろ。

そりゃ姿が見えないはずだな。

私も結構ハイになっていて、このテンションのまま帰るのが惜しく、

Mちゃんを誘って近くのゲーセンでUFOキャッチャーに熱中していた。

このときはMちゃんとすごくいい仲だったんだよなあ・・・

 

翌日、その当の友人が彼女たちを観光に連れて行くはずだったのだが、

当日になって彼が熱を出してしまったため、急遽私が代役を務めることになった。

別の男友達を連れて1日かけていくつか観光地を案内し、かなり打ち解ける。

まあ前日の宴席でお互いかなり醜態を見せたのが逆に良かったのかもしれない。

 

その直後に彼女たちは地元に帰っていったのだが、Yちゃんが世話になった数人に

お礼にとメッセージ付きで地元のお土産を送ってきてくれた。

私は義理堅い子だな、と思い、お礼も兼ねて返信を出した。

どうやら返信を出したのは私だけだったみたいだ。

その返信をきっかけにその後、季節ごとに彼女から手紙が来るようになった。

メールがあればまた全然違う展開になったのだろうが、当時はまだない。

私から出すことも何度かあった。

彼女からは就職先のことや日常の楽しかったことなんかを綴ってくれていた。

私も同じような内容で返す。

一度会っただけなのだが、こういう感じで緩くつながってるのも悪くない。

彼女を好きになったわけではなかったが、このままいつかどこかで

いい感じになるのならそれもまた良し、という感じだった。

 

そんなこんなで手紙のやり取りだけで3年が過ぎた。

私は毎年夏休みに帰省することにしていた。

幸い関西から東海なら電車で日帰りできる。

私はそのタイミングで思い切って彼女に会いに行ってみようと決めた。f:id:Donchang:20210227141538p:plain

 

とはいえ初めて会った日から3年も経っている。

顔も半分忘れており、彼女の印象は唯一手紙の文面だけだ。

でもこういう形で女の子とせっかく関係がつながっているのだ。

久々に会って一緒に過ごすことで彼女の魅力を発見できるかもしれない。

もし交際することになれば遠距離になるが、それはなぜか抵抗がなかった。

出会いからここまで、こういうのもいいんじゃないかな、そう思えた。

私は半ば自分の気持ちを試すために彼女と会う約束をした。

 

当日、約束通り彼女はきてくれた。

3年ぶりの再会。

ああこんな感じの子だったな。

思ったほど抱いていた印象と違わない。

同級生ということもあって話しやすくそれほど緊張もしない。

彼女もあっちの"だがね"調の方言丸出しで微笑ましい。

水族館に行ったり御飯を食べたり、デートコースを回るようにその日一日を過ごした。

f:id:Donchang:20210313202850p:plainf:id:Donchang:20210313201657p:plain

 

ようやくYちゃんと3年越しの再会を果たし、1日一緒に過ごしてみたわけだが、

まだこの子と付き合いたいな、とまでは思うに至らなかった。

自分の気持ちを確かめるのにやはり1日では足りなかったみたいだ。

そして次のチャンスが思いもよらない形でやってきた。

女の子の話その⑩ -すれ違いに終わったMちゃん-

高校を卒業した後、私は北海道のある大学へ進学した。

初めての一人暮らしであり、高校生活とは比べ物にならないくらい自由だ。

まず時間が潤沢にあり、帰る時間を気にしなくてもいい。

積極的にアルバイトやサークル活動もできる。

 

2年生のとき、仲の良かった友人に誘われ、私はとあるサークルに入ることになった。

金曜日の夜に体育館とかに集まってバレーやバスケをしたり、

終わったらファミレスで食事をして、ドライブやカラオケに行ったりもする。

ときに土日などに日帰りの遠出をしたりすることもある。

まあ、いわゆる男女の出会いの場として用意されたごくありふれたものだ。

f:id:Donchang:20210227131308p:plain

私は理系だったので授業に出ているときは周囲はほぼ男しかいなかったが、

こういうものに参加しないと女の子と知り合うチャンスは増えない。

それは女の子の方も同じであり、来るのはだいたい短大生とか看護学校生とか

学内で異性との出会いがほぼない環境にいる子ばかりであり、お互い目的は同じだ。

基本的にはグループ単位で仲良くなることが多く、私を含む普段仲の良い男子数人も

ある短大の女の子グループとよく集まって遊ぶようになった。

その中に特に好きな子がいたわけではないのだが、一緒にいて楽しい子たちだ。

だいたいの子が私より1つ年下だったが、それはまったく気にならなかった。

このあたりは高校生と大きく違うところだ。

 

その中に誘うといつも喜んで応じてくれる付き合いの良い子が1人いた。

名前をMちゃんという。

高校時代のNちゃんと同じくらい小さめの子だ。

一人暮らしではないが、割と制限が緩く時間の心配があまりない子だった。

私が外食するときに一緒に食べに行く?と誘うと2人きりであっても応じてくれた。

彼女の家は海の近くにあり、帰りに送っていくときに海見てから帰ろうか、

といって海岸で波を眺めたり、押し合ってじゃれたりしたこともあった。

ただ残念ながらその頃の私にはまったくMちゃんに対する恋愛感情がなかった。

f:id:Donchang:20210227130527p:plain

 

3年生になり、会う頻度は減ったが私のMちゃんに対する感情に変化があった。

なぜかすごく彼女が気になるようになったのだ。

今まで距離が近すぎて気が付かなかった。

意識していなかったので彼女といるときが気負わず一番素の自分が出せていた。

私は以前そうしていたように彼女と2人で出かけようと久々に誘ってみた。

彼女はきてくれたが、明らかに以前と態度が違う。

なんかよそよそしい。

今までなら楽しそうにあっけらかんと笑ってくれたのに、それも鳴りを潜めていた。

 

私は彼女と仲の良いSちゃんという子を呼び出して話を聞いてみた。

Sちゃんは私の気持ちに理解を示したうえで、こう教えてくれた。

 

「あんた以前あの子に『こんな妹欲しい』って言った?」

「あの子『妹なんだ・・・』ってショック受けてたよ」

 

どうも私が"妹"扱いしたことがことのほか彼女を傷つけてしまったらしい。

発言した記憶はなかったが、そう思っていたことは確かなので、多分事実だ。

でもそれは決して"対象外"という意味で言ったわけではない。

私にとっては"妹みたいな子"も立派な彼女候補だ。

そのときは深く考えず、思ったことをポロッと口にしただけだったと思うが、

まさかそれがNGワードだったとは思わなかった。

 

結局Mちゃんは私の"妹"発言によって私への興味をすっかり失ったと知った。

結果論だが、私が自然体で彼女を誘っていた頃が実は一番チャンスだったのだ。

まあこのへんは良し悪しで、恋愛感情がなかったからこそともいえる。

Nちゃんのときほどではなかったが、やはりショックはある。

告白していないのでフラれたというより、好きになるタイミングが遅すぎた。

f:id:Donchang:20210227130859p:plain

 

男女関係ってのは難しい。

自分が好きになった子が、同じタイミングでこちらを気に入ってくれないといけない。

そうでないとなかなか交際には発展しない。

ゲームみたいにゲージが表示されてれば楽なんだが。

彼女の気持ちがこのラインを超えてればOKもらえる、みたいに。

でもそうじゃないからこそドキドキもするし人間らしいともいえる。

これはおそらく今後どれだけテクノロジーが発展しても変わらないんだろうな。

女の子の話その⑨ -Cちゃんへの偽りの想い-

↓ 前回のお話 ↓ 

donchang.hateblo.jp

Nちゃんとのことは決して良いやり方ではなかったが一応決着させた。

しかしその結果彼女は次の恋愛に進み、私は気持ちの行き場を失くした。

すべてをNちゃんのせいにして強がってはみたものの、

なんだかその状況がすごく寂しくて仕方がなかった。

いつまでもNちゃんを引きずらず、他の子を好きになれるのが一番いい。

しかし本来人を好きになるのはあくまで自然な感情の流れだ。

今日から自分が好きなのはこの子、といって始められるものではない。

私のNちゃんへの想いはそうそう簡単に断ち切れるものではなかった。

だからこそ、無理にでも誰かを好きになればいいと思ったのだ。

 

私はCちゃんという女の子にアプローチしてみることに決めた。

Cちゃんとは中学も違えばクラスも一緒になったことがない。

唯一通っていた学習塾が一緒だったが会話を交わしたことはない。

ただ可愛いし良い子そうだなあと思っていただけだ。

これだけの理由でターゲットにされてはCちゃんもいい迷惑だ。

どうなるかはわかりきっていたのだが、とにかく私は早く結果を求めた。

Nちゃんへの想いになんとか上書きしたい一心だったからだ。

苦手な電話も何度かして、ようやくCちゃんと話すことができた。

そして最初に2人で会ったときに気持ちを伝えた。

気持ちといってももちろん底が浅い。

彼女は礼節をもって丁寧に断ってくれた。

当たり前すぎる結果だ。

この間およそ3ヶ月。

残念なはずだが、なんだか私はホッとした。

半ば義務的に、自分はNちゃん以外の子に興味が移ってるという体をとるために

Cちゃんにアタックしていたからだ。

完全に"カラ元気"といっていい。

本当にCちゃんには迷惑をかけてしまった。

f:id:Donchang:20210227131815p:plain

 

でもここまでの流れで少し時間が経過していたこともあって、

私はようやく勉強に身を入れることができた。

Nちゃんと破局したのが時間的余裕のあるときでよかったのかもしれない。

これが3年生の夏場とかだったら多分もう立ち直る時間がなくて悲惨だった。

 

Cちゃんとはこれで終わりだったのだが、なんと3年で同じクラスになってしまった。

私はさすがに気まずくて卒業まで一度も話をすることはなかった。

卒業時にクラスで文集を書くことになったのだが、アンケートのようなもので

一番早く結婚しそうな人、とかの設問にクラスで誰が該当するかを書くものだった。

その中にCちゃんが書いたアンケートがあったのだが、そこに私の名前があった。

亭主関白になりそうな人、という設問のところだった。

ああいう強引なやり方のイメージからくる皮肉だったのか?